長崎NPO法人設立センター

NPO法人設立後の毎年届け出るべき書類

NPOも決算をする

 「NPO法人は営利団体ではないから決算などは不要」という話を聞くとこがありますが、これは誤りです。NPO法人は、定款に定めた事業年度ごとに決算を行い、所轄庁に提出しなければなりません。提出するのは決算に関する書類だけでなく、事業年度中に行った事業について記載した事業報告書も提出しなければなりません。

 確かにNPO法人は非営利法人ですから、株式会社のように利益を上げているかどうかを株主などに報告しなければならないわけではありません。しかし、健全な活動を行っていることを広く一般に知ってもらう必要があります。したがって、NPO法人の場合には、事業年度ごとの報告書や決算書類を所轄庁に提出するだけでなく、その提出した書類については広く一般に公開されることになっています。

 こうした事業報告については、NPO法人が行わなければならない重要な義務と言えます。この事業報告を行わないと処罰されますし、3年間事業報告を行わないままのNPO法人は、NPO法人の認証を取り消されることになっていますから、注意が必要です。



毎年事業年度はじめの3か月以内が勝負

 NPO法人は定款で事業年度を定めています。事業報告や決算書類の作成は、この事業年度の期間が対象となります。

 具体的には、事業年度が終了後3か月以内に必要書類を作成し、所轄庁に提出することになっています。

 事業年度が終了した後に行う手続きとしては、まず、提出する書類の原案を作成し、社員総会を開催する準備を行います。社員には総会の日時を記載した招集通知を出しますが、その際に、必要な資料も同封します。作成した書類の原案は幹事のチェックを経て問題がなければ、社員総会当日に社員に報告します。

 社員総会を開催した後は、総会の議事録を作成し、提出書類を最終的に整備して、所轄庁に提出することになります。

一般的に以下の書類が必要となります。

  • 事業報告

  • 活動計算書

  • 貸借対照表

  • 財産目録

  • 前事業年度の役員名簿

  • 前事業年度末日における社員のうち10人以上の者の名簿

 これらの書類を提出する際には、表紙として事業報告書等提出書という書面をつけます。この提出書に、添付する書類名と添付する部数を記載します。

 なお、以前は、前事業年度中に定款の記載内容を変更した場合には、毎事業年度の提出書面として、定款と定款変更にかかわる認証書の写し、定款変更にかかる登記簿謄本の提出が要求されていましたが平成24年4月からは、定款変更関係書類は定款変更時に提出すれば足り、毎事業年度の提出は不要となりました。

 また、事業報告書、活動計算書、貸借対照表については、それぞれの書面として、計算書類の注記が要求されます。


事業報告書

 事業報告書には、報告対象となる事業年度中の活動内容と事業の成果を記載します。報告対象となる事業については、事業の実施に関する事項として、「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」に分けて記載します。

 「特定非営利活動に係る事業」欄には、20分野に該当するNPO本来の事業についての活動内容を具体的に記載することになります。

 記載する内容は、事業名、具体的な事業内容、該当事業の実施日時・場所・従事者の人数、受益対象者の範囲・人数、活動計算書の事業内容、当該事業の実施日時・場所・従事者の人数、活動計算書の事業費の金額を記載します。



前事業年度の年間役員名簿

 事業年度内に就任した理事と監事を記載します。

 役員名簿に記載した内容がいつのものであるかを明らかにするために、対象となる事業年度を「○年○月○日から△年△月△日」といった形式で記載します。

 記載項目は、役職名、氏名、住所または居所、就任期間、報酬を受けた期間です。報酬を受け取っていない役員については「報酬なし」と記載します。また、理事については、組織上、「理事長」「副理事長」などと分けているNPO法人であっても、役職名の欄には「理事」と記載します。



前事業年度末日における社員のうち10人以上の者の名簿

 名簿に記載する社員は、社員総会で議決権を行使することができる人となります。正会員の他に議決権を持たない会員を名簿に記載しても10人以上という条件を満たす人数にカウントすることはできません。



事業報告書などの情報開示

 平成24年4月施行の法改正で、事業報告書等の情報開示がより広く求められることになりました。

 特定非営利活動法人は、主たる事務所に加え、従たる事務所においても、社員その他利害関係人から、事業報告書や計算書類、財産目録などの書面の閲覧請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧できるようにしなければなりません

 また、特定非営利活動法人は、最新の役員名簿及び定款などを、その事務所に備えて置くことも求められています。

 これから、NPO法人を設立することを検討している場合には、このような情報開示のルールについてもチェックしておく必要があります。


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